喘息の吸入薬、使う時間で効果が変わる?〜「時間治療(じかんちりょう)」って知っていますか?〜

※記事内容をイメージしたAI生成画像です

「夜になると咳が出てつらい」「朝は息苦しくて起きづらい」…そんな患者さんの声をよく聞きます。実はこれ、喘息が持つ「日内リズム」の影響なんです。

今回は、そんなリズムに合わせて薬を使う「時間治療(chronotherapy)」という新しい考え方をご紹介します。

⏰喘息は1日の中でも変化する病気

喘息は24時間いつも同じように悪くなるわけではありません。多くの方で、

  • 夜から明け方にかけて症状が強くなる
  • 朝起きたときに息がしづらい

という傾向があります。これは体内時計(サーカディアンリズム)の影響で、夜になると気道が狭くなり、炎症も強まるためです。

💊同じ薬でも、使う時間で効果が変わる?

最近行われた研究(Wang. Thorax. 2025)で、吸入ステロイド薬(炎症を抑えるお薬)をいつ使うかによって、効果に差があることがわかってきました。この研究では「キュバール®」という、もともと1日2回使うお薬を用いています。

研究では、喘息の患者さんに以下の3パターンで薬を使ってもらいました:

  1. 朝1回(8〜9時)
  2. 午後1回(15〜16時)
  3. 朝晩の2回(8〜9時、20〜21時)

その結果…午後1回の吸入(15〜16時)が、夜の咳や息苦しさを一番よく抑えていました。

🌟午後の吸入が、夜の発作を防ぐカギかも!

この「午後1回吸入」では、

  • 夜間の呼吸機能の改善(特に22時の肺の状態)
  • 夜の好酸球(炎症の原因になる細胞)の抑制

など、夜間の発作予防に効果的だったと報告されています。

💬まとめ

上記は海外での研究であり、あくまで現状「1日2回」と添付文書にあるものは、その通りに使って頂きたいです。ただ言えることは、レルベア®やテリルジー®など1日1回の吸入薬は、午前より午後(寝る前でも良いかもしれません)に吸った方が、喘息のコントロールはさらに良くなるかもしれませんね。

もちろん、すべての方に「午後1回」がベストとは限りません。今の症状や生活スタイルによって、最適な時間は変わるかもしれません。

もし気になることがあれば、お気軽にクリニックまでご相談ください。あなたの生活リズムに合った治療、一緒に考えていきましょう。