吸入ステロイドの副作用について心配されている方へ
吸入ステロイドってどんな薬?
吸入ステロイド薬は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などで使われる代表的なお薬です。炎症を抑えることで、気道の腫れやゼーゼー・ヒューヒューを減らし、発作を防ぎます。
「ステロイド」という名前に不安を感じる方もいらっしゃるのですが、飲み薬や注射のステロイドとは使い方も体への影響も異なります。吸入薬は気道に直接効かせることを目的にしており、全身への影響はかなり少ないのが特徴です。

口の中の副作用と対策
短期的に見られる副作用として、もっとも多いのが 声がかすれる(嗄声) です。これは薬が声帯にあたって炎症を起こすために生じるもので、吸入後にうがいをすることで多くの場合は予防できます。
また、比較的まれですが、口腔カンジダ症(口の中の白いカビ) が出ることもあります。これも、適切なうがいでリスクを減らせます。
うがいは、口の中の「ぶくぶく」と、のどの奥で「がらがら」の両方をしっかりしましょう。とはいえ、声の出るのどの奥まではうがいが届きません。声がれが気になる方は、ガムを噛んだり、吸入をしてから食事をするのが有効かもしれません。唾液や食物で喉を洗い流すイメージですね。
口の中が荒れやすい方は、吸入直後に歯みがきをし、その際に舌やほほの粘膜、唇の裏などもよくみがくと良いです。これでかなり口腔カンジダを予防できます。



長期的なリスク
長期に吸入を続けていると、頻度は高くありませんが以下のようなことも報告されています。
- 肺炎のリスク
特に高齢の方や基礎疾患がある方では、吸入ステロイドを使用している人に肺炎がやや多いとされています。ただし「肺炎になるリスク」と「喘息やCOPDを悪化させるリスク」を比べた場合、吸入ステロイドを続ける方が明らかにメリットが大きいと考えられています。(実は当院院長も吸入ステロイドで肺炎になった経験が複数回ありますが、薬を選べば大丈夫でした。) - 真菌(カビ)への感作
何十年も長く使用している方では、ごくまれにアスペルギルスというカビに対してアレルギー反応を持つことが報告されています。とはいえ、これは非常にまれで、ほとんどの患者さんは問題なく使い続けられています。
まとめ
吸入ステロイドは、喘息やCOPDの治療において欠かせないお薬です。
副作用はゼロではありませんが、多くは「うがい」「スペーサーの使用」などで予防できます。肺炎やまれな真菌感作などのリスクもありますが、それ以上に 発作を防ぎ、呼吸を守る効果の方がずっと大きい ことが分かっています。
不安があるときは自己判断で中止せず、ぜひ医師にご相談ください。安全に、そして安心して治療を続けていけるよう、一緒に考えていきましょう。
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