ぜんそくと咳ぜんそくは違う病気か?

患者さんからよく、「ぜんそくと咳ぜんそくの違い」について質問を頂きます。本日も同じご質問を頂きました。

※ 以後、「ぜんそく」は「喘息」と書きます。

一般的に喘息は「咳」「息切れ」「胸の違和感」「痰」などの症状をきたします。一方で咳喘息は、「咳」にフォーカスが当たった病名と言えます。つまり他の症状は全く、あるいはほとんどない状態です。

実際にネットで少し見てみると、これらを「違う病気」としている解説が多くみられました。しかし私としては、同じ病気と説明しています。少し正確に言うと、喘息という総称があり、その種類の一つに咳喘息があるイメージでしょうか。

喘息は非常に多岐にわたる疾患で、症状だけでも「咳が多いタイプ」「痰が多いタイプ」「ゼイゼイしたり息切れがメインなタイプ」、変わったものだと「胸が痛くなるタイプ」など様々です。症状以外にも、治療の反応性、発症や悪くなるきっかけ、軽症から超重症まで様々です。これらタイプ別で「痰喘息」「ゼイゼイ喘息」などと病名を変えたりはしていません。

長引く咳の原因として喘息があるのだ、ということを分かりやすくするために「咳喘息」という言葉の存在意義があるなぁ…と個人的には考えています。

あとは、

  • 喘息でも咳喘息でも、吸入ステロイドが最重要、という治療方針は同じ
  • 欧米では日本ほど咳喘息(cough-variant athma)といった用語は使われない。
  • 日本の呼吸器内科医も、喘息と咳喘息を区別することは少なくなってきている。(説明のためには用いますが)

といったこともあります。

ということで、

Q. 「ぜんそく」と「咳ぜんそく」は違う病気ですか?

A. 「咳ぜんそく」は「ぜんそく」の一種ですが、これら同じ病気です!

ということになります。