そば

私は調理が苦手です。食べる専門です。いささか食べすぎですが…。

好きなものの一つが、日本そば(蕎麦)です。

特に冷たい方が好みで、幼少期の頃から年越しそばをざるで注文し、

もう他界した祖母から、当時「ひろくん(注:私のことです)はこんなに寒いのによく冷たいのを食べるねえ」と言われたものでした。

当クリニックから歩いて行けるおすすめの蕎麦屋さんが「そば処 赤星」です。

ランチ時に伺うと、いつも賑わっています。

私はよく「冷たい蕎麦大盛り+豚ヒレカツ丼大盛り」を注文します。

こちらの蕎麦は1枚分が控えめなので、私には2枚でちょうど良いのです。

繊細な更科蕎麦を、辛めなめんつゆにちょこっとつけて、ズルズル頂きます。

優しい味付けの豚ヒレカツも肉厚ジューシーで柔らかくおいしいです。脂身が少なく胃もたれしません。

蕎麦は炭水化物のように言われますが、栄養的にはどうなのでしょうか?

私は、少し筋力が少なさそうな患者さんに「毎食20gのたんぱく質を摂りましょう」とお勧めしています。

腎臓が悪い方を除き、筋力を維持するのに必要な量とされます 1)

(1食で20g x 3 = 60g をまとめ食いするのは、効率が悪いというデータがあります)

蕎麦に含まれるたんぱく質について、昔からライバルであるうどんと比較してみましょう。

食品成分エネルギー
kcal
たんぱく質
g
脂質
g
炭水化物
g
穀類/そば/そば/生2719.81.954.5
穀類/そば/そば/ゆで1304.81.026.0
穀類/こむぎ/[うどん・そうめん類]/うどん/生2496.10.656.8
穀類/こむぎ/[うどん・そうめん類]/うどん/ゆで952.60.421.6
食品成分データベース (mext.go.jp)より引用(各値は成分100gあたり)

ゆでた200g蕎麦あるいはうどんを1食で食べるとすると、

たんぱく質は蕎麦 9.6g vs うどん 5.2gとなり、蕎麦に軍配が上がります。

ここに絹ごし豆腐の冷奴を約半丁(200g程度)で10.6gとすれば

蕎麦と冷奴でたんぱく質は十分量となります。

うどんと比べてたんぱく質が豊富、それが蕎麦なのです。

一方で蕎麦に豊富に含まれる「ルチン」についてはどうなのでしょうか?

私も良く知らないので、直近10年「rutin」に関するランダム化比較試験をPubMedで調べました。

例えば、ルチン400mgを8週間毎日摂取すると、内臓脂肪が有意に減少する、といったものがありました 3)

あとは2型糖尿病の患者さんがルチン500mgを3か月毎日摂取すると、代謝が良くなるといったものもありました 4)

とはいえ、1人前の蕎麦に含まれるルチンは9mgなので、

上記を達成するには1日44-55人前の蕎麦を8-12週間食べ続けなければなりません。

いったいどこの誰がこれほど食べられるでしょうか。いや、そんな人はいません。たぶん。

こういった「●●の成分が▲▲に良い!」といった話の多くは、量の概念が無視されていることが多いので、

私はあまり飛びつかないようにしています。みなさまもご注意を。

ちなみに私は特に田舎蕎麦が大好きです。

色が濃くて太めだったりして、ワシワシ食べるのがたまりません。

もちろん、うどんも好きです。ラーメン、焼きそば、ビーフン、パスタどれも好きです。

これだけ多彩な麵料理がある日本に生まれて、本当に幸せです。

1)「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

2) 食品成分データベース (mext.go.jp)

3) Hashizume Y, et al. J Food Sci. 2020;85(10):3577-89.

4) Bazyar H, et al. Phytother Res. 2023;37(1):271-84.