帯状疱疹ワクチンについて

2025/4/1より帯状疱疹予防接種が定期接種(対象者は公費負担で接種可)となります。
帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus: VZV)によって引き起こされ、文字通り水痘(水ぼうそう)を起こすウイルスと原因は同じです。初感染後に神経へ潜んでいたこのVZVが、宿主の免疫低下によって再活性化し、帯状疱疹を引き起こします。皮膚だけではなく神経も冒すだけあって、皮膚が治っても神経痛が後遺症として残るのが、大変につらいところです。
帯状疱疹のワクチンは2種類あり、それぞれの特徴・効果・安全性は以下となります。(鎌倉市HP https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/skenkou/taijyohoshin.html より引用・一部改変)
ワクチンの特徴
生ワクチン(ビケン®) | 組換えワクチン(シングリックス®) | |
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接種方法 | 皮下に接種 | 筋肉内に接種 |
接種回数と間隔 | 1回 | 2回 (2か月以上の間隔をあける)※ |
接種条件 | 病気や治療によって、免疫の低下している方は接種できません | 免疫の状態に関わらず接種可能 |
接種に注意が必要な方 | 輸血やガンマグロブリンの注射を受けた方は治療後3か月以上、大量ガンマグロブリン療法を受けた方は治療後6か月以上置いて接種してください | 筋肉内に接種をするため、血小板減少症や凝固障害を有する方、抗凝固療法を実施されている方は注意が必要です |
帯状疱疹に対するワクチンの予防効果
生ワクチン(ビケン®) | 組換えワクチン(シングリックス®) | |
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接種後1年時点 | 6割程度 | 9割以上 |
接種後5年時点 | 4割程度 | 9割程度 |
接種後10年時点 | ― | 7割程度 |
ワクチンの安全性
主な副反応の発現割合 | 生ワクチン(ビケン®) | 組換えワクチン(シングリックス®) |
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70%以上 | ― | 疼痛* |
30%以上 | 発赤* | 発赤*、筋肉痛、疲労 |
10%以上 | そう痒感*、熱感*、腫脹*、疼痛*、硬結* | 頭痛、腫脹*、悪寒、発熱、胃腸症状 |
1%以上 | 発疹、倦怠感 | そう痒感*、倦怠感、その他の疼痛 |
生ワクチンは従来よりありましたが、活性のある(生きている)ウイルスを接種するため、免疫が低下している方には打てないという問題がありました。
そんな中、2020年1月に登場した「シングリックス」は、注射部位の痛みは生ワクチンより出やすいものの、①免疫が低下した方にも打てる、だけではなく、②帯状疱疹の予防効果が優れる・長持ちする、③いざ帯状疱疹にかかってしまったとしても、後遺症である神経痛の予防効果も高い、など大変に優れています。ただし2度の接種が必要かつ費用が高く、自費では1回2万円程度が必要でした。
そんな中、2025年4月から、かつての肺炎球菌ワクチンのように65歳、70歳、75歳…(5の倍数年齢)で公費負担により、かなり安く打てるようになりました。公平になるように、2029年度まではこの公費負担が続けられるとのことです。
まとめ
・シングリックスは高価だが、帯状疱疹の予防効果も高く良いワクチンである。
・2025-2029年度に65歳以上になる方は、これを機にぜひ定期接種(公費負担あり)でのシングリックス接種を!