黄砂とPM2.5と花粉症と喘息について

黄砂が飛んでいます。黄砂などの微粒子による大気汚染の状況は、環境省が運営しているホームページ「そらまめくん」で見ることができます。

環境省大気汚染物質広域監視システム(そらまめくん)

今回は黄砂が健康に与える影響について解説します。

PM2.5って?

黄砂といえばPM2.5が想起されることが多いですが、PM2.5とは、直径が2.5μm(だいたい髪の毛の太さの1/30くらい)の微小な粒子状物質(particle matter)の総称で、自動車や工場の排気ガスや、タバコの煙にも含まれます。同じように、直径が10μmの微小な粒子状物質はPM10と呼びます。

黄砂の粒子は長旅によって変化する

そもそも黄砂って、どこから来るのでしょうか? その発生源は東アジアの砂漠など乾燥地域で、舞い上がりった粒子が偏西風で中国・台湾・韓国、そして日本に運ばれて来ます。発生源付近では5-7μmだった大きさが、日本に飛んでくるまでのその長旅によって削られ、平均4μmの大きさになるといったデータがあります。黄砂の粒子にも小さいものがあるため、その飛来時にはPM2.5の測定値も上昇します。

※ ということで本稿では黄砂(の粒子)≒ PM2.5 のようにお話ししますが、もちろん厳密には定義が異なります。

また飛んでいる間に色々な地域を通過することで「化学物質」「花粉の破片」「細菌」などが次々と付着し、小さな砂粒が「なんだか色々と体に悪いもの」を身にまとった黄砂として、日本に飛来しているということになります。

黄砂やPM2.5が喘息や花粉症を悪化させる理由

気管支が枝分かれした細いところの太さは10μm(髪の毛の1/7-1/8くらい)であり、ここに入ってきたPM2.5など微粒子による刺激が、喘息やその悪化の原因となり得ます。さらに黄砂に付着した「化学物質」「花粉の破片」「細菌」などによっても、喘息やその悪化が引き起こされるとされています。

黄砂は花粉症も悪化させます。花粉への曝露によって鼻の粘膜が過敏になった上に、「化学物質」「花粉の破片」「細菌」黄砂を吸入するためです。

またPM2.5は喘息だけでなく、心筋梗塞や脳卒中のリスクも上昇させることが分かってきています。肺から取り込まれたPM 2.5が、種々のメカニズムで血管へ悪影響を及ぼしていると考えられます。

まとめ:喘息や花粉症がひどい方は対策を

ということで、怖いデータも出てきてはいますが、過剰に怖がることはないと思います。喘息や花粉症がひどい方は、上記「そらまめくん」も参考にして、黄砂が多い日の外出を減らす・控えるなどの対策が良いでしょう。そのほか、帰宅したらうがい・手洗い・洗顔をする、窓を開けるのは最小限にする、洗濯物は部屋干しにする、部屋の掃除をこまめにする、などがお勧めです。

本日の本題ではありませんが、タバコの煙も立派なPM2.5です! 喘息がある方はぜひぜひ禁煙しましょう!

まとめ

・黄砂は粒子が小さいので(ほぼPM2.5)、気管支の奥まで届いて喘息を悪化しうる。

・黄砂粒子に付着した「化学物質」「花粉の破片」「細菌」などにより、喘息だけでなく花粉症も悪化しうる。

・喘息や花粉症がひどいなら、ニュースやWebサイト「そらまめくん」なども参考にして、黄砂が多い日の外出を避ける、洗濯物を室内干しにする、窓を極力開けない…など対策をする。

・タバコの煙もPM2.5の代表例。喘息があるならぜひ禁煙を。