長引く咳の原因は?
咳が長引くのはつらいものです。その原因と対策について解説致します。
気管支喘息(咳喘息)
長引く咳の原因として最も多いです。
風邪をひいた後に咳だけ何日も何週間も続く、ゼイゼイする、特に自身(や親族)にアレルギー体質がある、夜に咳が多い、などといった場合は気管支喘息の可能性があります。
また当院では喘息らしさを判定する検査(呼気一酸化窒素検査など)が可能です。
喘息が疑われる方には、気管支拡張薬やステロイドの吸入薬をお出しします。これが日から週の単位で咳に効けば、気管支喘息やその類縁疾患と考えます。この場合、お薬はすぐに止めず、しばらく継続することをお勧めします。
なお「咳喘息(cough variant asthma)」という言葉はアジア圏でよく使われますが、欧米では「気管支喘息」にまとめられます。つまり異なる病気ではありません。
感染後咳嗽
風邪をひいた後に咳だけ何日も何週間も続くが、喘息でない場合、この「感染後咳嗽」が最も多いです。文字通り「ウイルス性感染(による風邪)」後に咳嗽(咳)が続く状態です。このウイルス感染には、COVID-19も含まれます。喘息治療をしても効かない場合は、こちらかもしれません。
治療は対症療法、あとは「時間ぐすり」です。自然に治るのを待ちます。昨今は咳止めが不足しており、大変に悩ましいです。
逆流性食道炎
胃酸の逆流が咳を招くことがあります。胸やけやげっぷが多い方の場合、適切な胃薬で咳が良くなるかもしれません。
後鼻漏(こうびろう)
慢性鼻炎や蓄膿症(副鼻腔炎)がある方は、ノドへ鼻汁が落ちていく刺激により咳が続いてしまうことがあります。
鼻汁を抑える治療により、咳が良くなるかもしれません。
ACE阻害薬による咳
血圧を下げる薬で、「ACE阻害薬」といったタイプのものがあります。よく使われる薬ですが、しばしば副作用として咳が続く場合があります。
もちろん中止・変更については、主治医への相談が必要です。
百日咳
昔からよく知られた病気ですが、実際のところはそう多くない印象です。本当の初期に適切な抗生剤を使うと良いですが、長引き始めたら、対症療法となります。
その他
タバコが影響しうるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎や間質性肺疾患、肺がん、感染症である肺炎、結核、非結核性抗酸菌症、慢性肺アスペルギルス症、さらに他にも多数の疾患があり得ます。
これらはレントゲンを撮ることで疑うことができるため、咳が長引く方へのレントゲン検査は重要です。
まとめ
- 長引く咳の原因として気管支喘息が最も多い
- 吸入薬の効果を見て喘息か否かを判定する
- 咳の原因を見逃さないためには、レントゲンが重要
長引く咳でお困りの方は、どうぞご相談下さい。