「いつも痰がでる」「中高年女性」は肺MAC症を疑うキーワード

「もう何年も痰が多い

クリーム色、黄色や緑色の痰がよく出るけど、もうずっとなので慣れてしまった」

という方で、特に中高年の女性の場合、肺MAC(マック)症について一度は専門医の受診をお勧めします。

「健康診断のレントゲンやCTで肺MAC症が疑われるけど、良い治療法がないので経過観察しかない、と言われてしまった」

といったケースも少なくなく、やはり専門医に相談することが望ましいです。

肺MAC症は中高年の女性に多く、10-20年の長い年月で肺を壊していく、決して侮れない病気です。MAC症によって一旦壊れてしまった肺の部分は、残念ながら元に戻せません。だからこそ、早期に病気を見つけて、適切に治療すべきなのです。

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MACとは?

細菌に「抗酸菌」と呼ばれる一族があります。一族の筆頭は「結核菌」です。咳によって人から人へと感染する「肺結核」を起こす菌です。この結核菌以外の抗酸菌をまとめて「非結核性抗酸菌(NTM)」と呼び、現在190種類以上が知られています。このNTMの代表がavium(アビウム)intracellulare(イントラセルラー)の2つで、まとめてMACと呼びます。図で示すと下の様になります。Mycobacteriumは抗酸菌「一族」の名字で、aviumやintracellulareは下の名前のようなイメージですね。

肺MAC症は年々増加している

肺MAC症は人にうつらないので、基本的には「感染爆発」のようなことはあり得ません。その一方、肺MAC症は国内調査で近年増加傾向にあります。医師の中でも本疾患の重要性が認知され、適切な検査で診断される例が増えてきているから、と言われています。

肺MAC症が疑われたら

冒頭のような状況(長年痰が多い、健診で肺NTM症や肺MAC症の疑いと言われた)では、まず呼吸器内科、特に抗酸菌の専門医を受診することをお勧めします。当院長は日本結核・非結核性抗酸菌症学会の結核・抗酸菌症認定医です。どうぞご相談にいらしてください。

診断のためには、①複数回の喀痰検査、②CT、③採血が必要です。場合によっては、④気管支鏡検査も必要となることがあります。しっかり拝見するために、当院から院長が非常勤の湘南鎌倉総合病院 呼吸器内科へご紹介することもあります。